糖尿病とアーモンド
2 型糖尿病に関係するメタボリックリスク因子の改善にアーモンドが有益 40歳前後から60歳代の世代に多く見られる生活習慣病。なかでも糖尿病は動脈硬化や高血圧、がんと並び、その代表的な疾病だ。 現在、世界中に4 億2,500万人以上の糖尿病患者が存在し、そのほとんどが2型糖尿病だという。これらの患者は、心血管疾患とその合併症を発症するリスクが高くなる。1万2,000人を超える2型糖尿病患者を対象に国際糖尿病連合が行った最近の調査によると、3 人に2人は心血管リスク因子があるものの、4 分の1は心血管リスク因子について医師と話したことがない、または、話した覚えがないということがわかった。 そんな中、カリフォルニア・アーモンド協会が出資して行った複数の調査では、2型糖尿病を持つ人が健康的な食事にアーモンドを加えると、心血管の健康に好影響をもたらす可能性があることが判明したという。 まず2型糖尿病を持ち、コレステロール値が高い50人のアジア系インド人4を対象にした調査では、バランスの取れた食事のカロリーの20%を素焼きのホールアーモンドで代わりに摂取すると、2型糖尿病と関係のある以下の健康指標が大幅に改善することがわかった。 ・腹囲:腹囲の過剰な脂肪と関連する健康リスクの指標 ・腹囲身⾧比:体脂肪の分布指標 ・総コレステロール:血中コレステロールの指標 ・中性脂肪:心疾患リスクを高める可能性のある血中脂肪の1 つ ・LDL コレステロール:動脈に沈着して閉塞の主原因となる悪玉コレステロール ・C 反応性たんぱく:体内の炎症指標 ・ヘモグロビンA1c:直近2~3 か月の平均血糖値の指標 アジア系インド人には2型糖尿病の遺伝的素因があり、上記の結果は、2 型糖尿病に関係する心血管リスク因子にアーモンドがさまざまな好影響をもたらすことを示している。 2型糖尿病を持ち、心臓に配慮した食事をしている33人の中国人を対象にした別の調査では、1日あたり60gのアーモンドを摂取すると、血糖値の維持と心血管疾患因子に対してどのような効果があるかを調べている。 アーモンドを加えた食事の方が全体的な栄養価は高くなる一方、いずれの食事(アーモンドあり、なし)でも、期待どおりに血糖値およびほとんどの心血管リスク因子を改善することはなかった。 しかしながら、2 型糖尿病を十分にコントロールしている参加者グループでは、アーモンド摂取者の空腹時血清グルコース値(絶食後の血糖値の指標)が6%低下し、HbA1c(直近2~3 か月の平均血糖値の指標)が3%低下したことが判明。 こうした結果は、健康的な食事にアーモンドを加えると、2 型糖尿病をよりよくコントロールしている人の場合、⾧期的に血糖値が改善される可能性があることを示唆していると言える。 2型糖尿病のコントロールが不良の21人のアメリカ成人を対象に行ったランダム化対照臨床試験では、12週間にわたって食事に1.5 オンス(約43g)のアーモンドを加えると糖尿病および心疾患リスク因子にどのような効果があるかを調べた。 アーモンド摂取グループ(n=10、平均年齢57.8歳)の参加者では、アーモンド非摂取グループ(n=11、平均年齢54.7 歳)と比較して、心疾患リスクの上昇に関係する炎症マーカーすなわちC反応性たんぱく(CRP)のレベルが30%近く低下。 炎症は心疾患、糖尿病およびその他の慢性疾患においてある種の役割を果たすと考えられており、2型糖尿病を持つ人の場合、CRP の上昇は心血管疾患のリスク上昇とつながりがある。 総合的に見て、グリセミック指数が低く、腹持ちの良いタンパク質(28g中6g)、満腹感のある食物繊維(28g中4g)、良質の脂肪、およびビタミンE(28g中7.3mg)、マグネシウム(28g 中76mg)、カリウム(28g 中210mg)などの重要ビタミン、ミネラルなどの栄養素をまとめて摂取できるアーモンドは、その用途の広さだけでなく調理形態の豊富さもあり、2型糖尿病を持つ人が健康的な食事計画を立てるために、賢いスナックの選択肢となるはずだ。